顕微鏡を覗くと、眼の中にもやもやしたものが飛び回り、眼をきょろきょろさせると目を動かした方向に飛び回り、とても気になることがあります。「なんだろう?」と思っている人も多いのではないでしょうか。これは「飛蚊症(ひぶんしょう)」といって、眼の中のゴミなどが見えている現象のようです。
飛蚊症(ひぶんしょう)は、人間の眼球内の原因により視覚に発生する現象で、視界内に小さな薄い影(糸くずや蚊のようにも見える)のようなものが現れる。網膜上では特定の位置に影は存在しているが、眼球の運動による視界の移動により、この影は相対的に動き回っているように当人には感じられる。眼科分野では遭遇する頻度の高い症状で、疾患の場合もある。(→Wikipadia「飛蚊症」)
特に高倍率で観察しているときによく見えます。目の老化が進んだ大人のほうが多く見えますが、子供でも見えます。詳しくは上記のWikipedia「飛蚊症」のページなどを読んでいただいたほうがよいと思います。網膜剥離などの病気の兆候でもあるようですが、ほとんどの場合には単に生理現象ですので心配はいりません。
顕微鏡だけでなく、望遠鏡などでも同じ現象に悩まされます。こちらのページ(http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/publications/TGS/2004-10.htm)に、飛蚊症の記事があり、飛蚊症をスケッチした面白い画像がありましたのでご紹介します。これは、天体望遠鏡で火星を観察中に見えた飛蚊症を火星と一緒にスケッチしたものと思われます。
観測を妨げる症状
きれいな惑星面を肉眼で見たいと思う気持ちは、誰でもが持つ共通の思いです。しかし、実際にはなかなか思うようにならないものです。気流や望遠鏡ではなく、意外に気付かないのが自分の眼です。近視や遠視は全然問題になりませんが、厄介なものがいくつかあります。まずは「乱視」です。水晶体の歪みだったり角膜の不均一で起こります。水晶体の場合はめがねで補正できるものもありますが、コンタクトレンズでかなり補正できます。眼科で詳しく診てもらいましょう。
次に、生理的飛蚊症(ひぶんしょう)。望遠鏡や顕微鏡を高倍率で使用すると見えるものです(図)。年令と共に増加しますが、疲れている時にも増加します。観測日数が重なり疲れてくると、観測に大きな支障が出るくらい見えてきます。大きな塊は眼をくるくる回すと、しばらくの間、違ったところに移動しますが、すぐに元に戻ってきて再び見えなくしてしまいます。これをさけるには双眼アイピースを使用するのが効果的です。まずは疲れないようにすることが先決かもしれません。
最後に、眼の感色性が個人によって違います。赤に強い人や、青に強い人など個人差があります。これは人の見え方と比べないと見つかりません。自分の眼の特徴をしっかり把握することが惑星観測の第一歩かもしれません。
引用元 http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/publications/TGS/2004-10.htm