顕微鏡の倍率

顕微鏡を購入する際、気になるのが「倍率」ではないかと思います。

顕微鏡の倍率は、以下の式で求めることが出来ます。
【 顕微鏡の倍率 = 対物レンズの倍率 × 接眼レンズの倍率 】
つまり、40倍の対物レンズと10倍の接眼レンズを使った場合、その状態の倍率は、400倍ということになります。

何かを観察する際、倍率は大切なのですが、観察するものによって適正な倍率は違います。高性能で高価な顕微鏡は倍率を高くできるものが多いのですが、倍率が高いこと自体が高性能であることを示すわけではありません。むしろ、倍率自体は性能と関係がありません。

生物顕微鏡の場合、実際に池の中にいるプランクトンを観察することを例にとると、一般的には、数10倍~400倍程度までしか使わないでしょう。小学校や中学校の理科の時間で学習するようなものはほとんどが上記のような倍率が得られる顕微鏡があれば十分です。但し、よく見える顕微鏡では、レンズや、ピント合わせをする装置や、光を当てる装置が高品質にできています。逆に、同じ倍率でも、これらがお粗末ですとろくに見ることが出来ません。たとえばレンズの性能が悪い顕微鏡でしたら、レンズの性能の悪さも拡大されますので倍率を上げれば上げるほど見えなくなります。もし安い(1万円ほどの)顕微鏡で1000倍を超える倍率が出せるものがあったとしたら、そのような顕微鏡は買わないほうがいいです。逆に、性能・品質の良い顕微鏡では高倍率でもきれいな像が見えます。但し、先に説明しましたように、小学校、中学校の理科の時間に出てくるような範囲の観察では、たいして高倍率を使うことがありません。1000倍を超える高倍率の顕微鏡では細胞の細かい構造などを観察するときなどに使われますが、それ以上倍率を高くしても大きく見えるだけで得られる情報はあまり変わりません。1000倍~2000倍が光学顕微鏡の限界となります。

実体顕微鏡の場合は、観察する対象がもっと大きいため、倍率は数倍~数10倍までです。実体顕微鏡は虫眼鏡の高性能版といった顕微鏡ですが、昆虫や植物、電子回路や時計の中身などの細かい構造物を観察するには最適です。